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2話

「まさか、肖晴が頬を紅潮させて壁に寄りかかり、私に向き合って、その手が平らな腹部から滑り下がっていくなんて……」

私は浴室の中の全てを目が離せず見つめ、一瞬たりとも見逃すまいとした。

正直なところ、私の中で肖晴はずっと氷の女神だった。会社ではどんな男性にも素っ気なく、彼女は性に冷淡なのだろうと思い込んでいた。

だが、彼女も自分で慰めることがあり、肉体的な欲求を持っていることを知った瞬間、突然、肖晴もそれほど手の届かない存在ではないのかもしれないと思えてきた……

「ピンポーン、ピンポーン」

私が熱い視線を送り、肖晴が自分を慰める様子をじっくり見ようとしていた矢先、予想外のドアベルが鳴り響いた。

くそっ!こんな遅くに誰が来るんだ?もしかして出前か?

思わずイライラしたが、浴室の肖晴がすでにタオルで体を拭き始めているのを見て、未練がましくも急いで自分の部屋に隠れるしかなかった。

リビングから物音がし始め、どうやら肖晴がスリッパを履いてドアを開けに行ったようだ。しばらくして、ドアの開閉音が聞こえ、かすかに男の声が聞こえてきた。

「ベイビー、もう体洗い終わったの?待ちきれなかったんだろ?ほら、いい匂いするか確かめさせて……」

「もう、来たばかりなのに下品なんだから、優しくしてよ〜」肖晴の声には照れと、少し誘うような調子が混ざっていた。

私は部屋に隠れたまま、凍りついた。まるで冷水を頭からかけられたように、高ぶっていた気持ちが一瞬で消え去った。

出前でもなく、肖晴の友達でもない?来たのは男だった。しかも肖晴の話し方から察するに、二人の関係は明らかに並々ならぬものだ。

なぜか、名状しがたい怒りが胸の内に広がった。まるで密かに思いを寄せていた女神が、自分がいない隙に別の男と関係を持っているかのような、説明のつかない裏切られた感覚だった。

リビングの二人は、この部屋にもう一人の存在があることなど知る由もなく、甘ったるい言葉を交わし続けた。聞けば聞くほど気分が悪くなり、思い切って携帯を取り出し、録音機能をオンにした。

「ベイビー、会いたかったよ、早く……」

「見え見えよ、その様子。先にシャワー浴びてきなさいよ」

「何を洗うことがあるんだ、もう待てないよ!」

言葉が終わらないうちに、肖晴から色っぽい悲鳴が漏れ、すぐに愛し合う音が聞こえ、肖晴の吐息も魅惑的に変わっていった。

「んん〜気持ちいい……」

私はリビングの光景を想像し始めた。普段高嶺の花のような女神が、この共同アパートのリビングで、ある男に服を脱がされ、思うがままに弄ばれている。彼女の表情は蕩けるように放縦で、体は拒みながらも誘い、男の征服を待っている。

あの男が自分だったらどんなにいいだろう!そう思った瞬間、私のある部分が反応し、心の中にも次第に邪な考えが浮かんできた……

肖晴とその男がリビングで熱く愛し合っている最中、私は部屋に隠れながら、全てを克明に聞いていた。

直接見ることはできなくても、女の甘美な声と男の荒い息遣いだけで、頭の中に次々と過激な映像が浮かび上がる。

彼らは間違いなく、あの行為に及んでいるのだ。

結局のところ、私はただの童貞で、ネットでこっそりエロ動画を見て、こっそり自分を慰めるのが関の山だった。

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