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1989話

身長二メートル近い大柄な男が手帳とペンを持ち、忙しく働く船員たちに威張り散らしていた。

彼こそが、今この船の采配を振るっている人物に違いない。

「頼んだぞ」

その時、火猿はわずかに微笑み、私の肩を叩いた。私の表情が曇るのを見て、やっと説明を加えた。「まさか俺がいきなり突っ込んで、あいつを捕まえて尋問するような無鉄砲なマネを期待してるわけじゃないだろう?」

確かにそうだ……

今、船員たちは全員一階で活動している。ここから一人を捕まえて、しかも誰にも気づかれずにとなると、そう簡単なことではない。

「お前、お前とお前、これ全部外に運び出せ!」

だが、チャンスはいくらでもある。しばらくして、デブ男は船...