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1969話

「しかし、後になって手のひらを返し、王さんの息子を連れ去り、ここに閉じ込めるなんて、どうしても理解できないんだ。」

半時間ほど経って、ようやく体に少し感覚が戻ってきた。全身の痺れもかなり和らいできたので、何とか力を振り絞って、虫のようにゆっくりと金庫の内壁に背をつけて体を起こすことができた。

そこで気づいたのは、この空間がおよそ十平方メートルほどしかないということだ。外から見た巨大な金庫と比べると、明らかにこれは一部分に過ぎないようだ。

どうやらこの金庫の中はいくつかの部屋に分かれているらしい。

そう考えていると、隅に座っている哀れな子ど……青年?が目に入った。

「君は……名前は何て...