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1940話

「聞いて、俺と王兄は顔を見合わせて笑った。

もちろん、こいつは単なる下っ端の雑魚だとわかっていた。だが、どんな些細な可能性であろうと、不測の事態を避けるために、俺たちはそれを起こさせるわけにはいかない。

だから、こいつを見逃すつもりなど毛頭なかった。

ただ今は、ちょうどいい機会だ。奴の口から何か有用な情報を引き出せるかもしれない。

「教えろ、この船は一体何を運んでいるんだ?」

「食料品と陶磁器です!」

男はすぐに答えたが、俺たちの疑わしげな眼差しを見て、「わかりました、認めます。私たち、金塊も密輸しているんです……」

「それだけか?」

俺は眉をひそめた。お前みたいな小物から多く...