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1926話

「これ一発蹴りを入れれば、奴は絶対に抵抗できなくなる。そうしたら口の中に隠している毒の嚢を取り除けば、万事解決だ」

実に簡単なことだった。

ガキッ!

蹴りを入れた瞬間、男の背骨から脆い音が響いた。

これは、骨が折れる音だ。

だが背骨が折れたというのに、男はまったく反応を示さず、悲鳴一つ上げなかった。ただ奇妙な姿勢で地面に倒れ込み、体が90度後ろに反り返っていた。

先ほどと同じように、彼は微動だにしなかった。

「お前、こうやって黙って始末したのか?」

そのとき、火猿が近づいてきて、地面に横たわる死体を見ながら、信じられないという表情で言った。「一言も発さずに口封じとはな。お前らしくもないぞ」

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