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1916話

軽い擦り傷に過ぎない。

だが猿火(エンカ)にとっては、話が違ってくる。

彼を撃った者は明らかに一発で命を奪おうとしていた。ただ照準がわずかにずれていたからこそ、腕に当たっただけなのだ。

豊富な戦闘経験を持つ猿火は、発砲者の位置をすぐに判断できた。「3時の方向、およそ百メートルくらいだ」

百メートル?

この程度の距離なら私にとって大したことではない。だが、出ようとした瞬間、振り返ると玉城瑶(ヤマシロ・ヨウ)が既に私の傍から消えていた。

ほとんど一瞬のうちに気づいた——彼女がまた能力を使ったのだ。

副作用が出るのではないかと心配していた私は、今や胸中穏やかではない。

玉城瑶が善意からそうしたことは...