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1863話

瞬間、無数のコンクリート片が私の体に降り注ぎ、避ける間もなかった。

「何をしているんだ?」

爆発の影響で通信に雑音が入り、耳膜を刺すような電流音が流れる中、王兄の怒り狂った声だけははっきりと聞こえてきた。「潜入するって約束したはずだろう!」

だが今この状況で、彼に構っている余裕などなかった。

口と鼻を覆いながら、煙が充満する廊下へと飛び込んだ。

この階は広大な紡績工場になっていて、玉城瑶が探していたのもまさにこの階だった。

「無事でいてくれ……」

自分に言い聞かせながら、あたりを見回して玉城瑶の姿を探したが、床に散らばる偽造機械の残骸以外、彼女の姿は見当たらなかった。

しかも辺りは真っ暗で、彼...