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1840話

運転手は慌てふためいてポケットから新札の米ドルの束を取り出した。ざっと見ても一万ドルはあるだろう。

私はその中から数枚抜き取ると、車を降り、通りに面したカフェへと足を向けた。

調べた限り、この辺りではこのカフェが一番静かで客も少なく、人を待つには最適な場所だった。

窓際の席を選び、ハーフシュガーのコーヒーを注文して、情報提供者からの連絡を待った。

あっという間に夜が訪れた。

午後十時半、カフェに突然アジア系の男が入ってきた。

黒い野球帽を目深に被り、スポーツウェア姿の男だ。

彼はまずカフェ全体を一瞥し、それから私に視線を落とすと、数歩近づいてきたが、突然立ち止まった。少し躊躇した後、黙って携帯...