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1763話

しかし、私たちが五分ほど進んだところで、一つの獣の咆哮が我々の足を止めさせた。

「うおおっ!」

声が響き渡るや否や、倒れた数本の大木の陰から、奇妙な姿をした獣が飛び出してきた。

その頭部は全身の三分の二ほどを占め、目はなく、禿げ上がった頭頂には二本の触角が突き出ていた。薄灰色の皮膚には斑点が散りばめられ、六本の足と鋸歯状の牙が並ぶ血の池のような大口を持っていた。

そして最も私たちの目を引いたのは、額にへこんだ拳の痕だった。

間違いなく藤井が力任せに叩き込んだものだ。

彼の能力で変身した石人だけが、あれほど大きな拳を持ちうるのだから。

この奇妙な生物はすでに激怒していた。私たちに向...