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1655話

私は眉を少し顰めたが、彼の言葉通りに従うことにした。

結局、数百キロもの石板を動かすのに、一人の小人に頼るわけにはいかないのだから。

石板の下には、手のひらサイズの香炉があった。ずっしりと重く、中にはまだ香の灰が少し残っていた。

これを見た瞬間、ウルスラの目が一瞬輝いたが、すぐに曇ってしまった。

「鍵はもう持ち去られてしまったか……」

鍵?私はすぐに尋ねた、どんな鍵なのかと。

「王母宮の鍵だ」

ウルスラは呟くように言った。「私は死をもって許しを請いたい……」

そう言いながらも、彼は私を一瞥すると口を閉ざし、静かに私たちを廃墟の裏側へと案内した。

そこはサッカー場の半分ほどの広さの空...