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1633話

空の果てに夕日の名残だけが残る頃、私はようやく山頂に辿り着いた。

ここに立てるスペースはごく狭く、強風が吹き荒れている。下を覗いても山の麓は見えず、ただ白い靄が山腹の間を縫うように漂っているのが見えるだけだ。酸素も山の下より薄く、肺に十分な酸素を取り込むには、大きく息を吸い込まなければならない。

振り返って欧陽燁を見ると、彼女は私の肩に頭を預けたまま、まだ目覚めていなかった。

「ふぅ……」

彼女を背負って登山を始めてから、すでに五時間以上が経っていた。特に山頂に至る最後の道のりは、極めて急峻だった。実際、私自身も疲れを感じ始め、体力が限界に近づいていた。

少し休んだ後、視線を山頂の反対側に...