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1512話

「しかし中は無人で、テーブルの上のお茶も冷めていた。どうやら船長はしばらくここにいないようだ。

まさか船長が誘拐されたのか?」

頭の中にはありえないようなシナリオが次々と浮かんできた。幸い、操舵室に着いたとき、五十歳近くの白髪混じりの船長と二人の副長を見つけた。彼らは三体の彫像のように立ち尽くし、表情は凝り、一言も発していなかった。

私が入室すると、船長はただちらりと振り返って私を見ただけだった。彼は私がここに来ることを予想していたようで、すぐに視線を目の前のレーダー画面に戻した。

彼が観察していたレーダー画面には、赤い点がゆっくりと我々に向かって進んでくるのが見えた。

なるほど、彼らはあの貨...