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470話

「シュシュ……」

オフィスの入口から迫ってきた人影を見て、普通の人なら確実に対応できなかっただろう。幸い、李雲霄の身のこなしは俊敏だった。彼は足を素早くひねり、紙一重の差でその人影を避け、さらに右手が毒蛇のように伸び、相手の不安定な足取りをつかんだ。その瞬間、二人は顔を上げ、互いの目を見つめ合った。

四目相対するも、二人は妙な沈黙に陥った。

「あっ!お兄ちゃん、あなた、大丈夫?」このとき、李雲霄の背後に立っていた裴翠雲が、自分の右側に立つ人影を認めると、驚きの表情を浮かべて叫んだ。

そう、今しがた迫ってきた人影こそ、警察署の署長、裴建章だったのだ。

「とぽとぽ……」

李雲霄は裴建章が認...