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440話

桐の館

下校して玄関に入ってきた陸子琪は、もともと上機嫌だったのだが、家に入るなり聞いてしまった話に青ざめてしまった。途端に、「泣きたい」という名の感情が彼女の心の中に湧き上がってきた。

「端末の持ち主は蘇薇薇、今年二十一歳、スリーサイズは……」

耳に届く情報に、陸子琪の純粋な頭はすぐに悪い方向へ考えてしまった。彼女は目を真っ赤にして、怒り心頭で李雲霄に向かって叫んだ。

「雲霄、この裏切り者!まさかあなたがそんな人だったなんて、私、見る目なかったわ!」

えっと……

俺、何かしたっけ?何もしてないんだけど!

大きな疑問が李雲霄の頭に浮かんだ。彼は自分が何か天に見放されるような行...