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299話

実際のところ、李雲霄のポケットにあったスイスの黒金銀行カード2枚に、皆が本当に驚いてしまったのだ。彼らはもはや李雲霄がほかにも黒金カードを持っているかどうかなど気にもとめていなかった。

スイスの黒金銀行カード2枚をさっと懐に入れると、李雲霄は自分に向けられる熱い視線の数々を感じた。幸い彼の精神力は並外れたものだったから、さもなければ本当に居心地が悪くなっていただろう。

「はははっ……」

心の中で得意げな気持ちを抱いた李雲霄は、大きく笑い声を上げた。彼は手を伸ばして傅芸晴の細い腰に手を回すと、くるりと身を翻し、ホテルの玄関へと歩き出した。ホテルの出口を出ると、二人は足早に駐車場へと向かった...