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200話

「はぁ……」

オフィスの中で、李雲霄は無力感たっぷりのため息をついた。オフィスの扉の外に現れた男は、まさに悲劇の主人公といった風情だった。

李雲霄は司徒耀の言葉が真実かどうか判断できなかったが、人の心や感情を読み取ることには長けており、それゆえに司徒耀の瞳に隠された悲しみの色を見逃さなかった。

司徒耀は間違いなく何か事情を抱えた男だ。

そういう理由もあって、李雲霄は手を出さなかったし、始まる前に終わってしまった某件のことで司徒耀に腹を立てることもしなかった。

もちろん、死罪は免れても生罪は免れず、李雲霄は司徒耀を無視することで、彼に諦めさせようとするしか...