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175話

厨房の中は、すでに多くの料理人たちに囲まれて身動きが取れないほどだった。李云霄と傅芸晴の二人については、もう厨房を離れ、社長室へと向かっていた。結局のところ、二人が人に見つからずに恥ずかしいことをできるのは社長室だけだったのだ。

昼時、李云霄は頬を赤らめた傅芸晴の手を引いて事務所から出ると、地下駐車場から車を走らせた。

車内では、李云霄の口元が緩み、笑い声が絶えなかった。彼がこれほど嬉しそうなのも無理はない。事務所では、彼と傅芸晴の間で最後の一線以外は、ほとんど全てのことをしてしまったのだから。

冷艶な社長が人に従順になる姿を想像するだけでも、心が高鳴るというものだ。

「ハハハ!ハハハ...