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56話

老王が十分に楽しむ間もなく、李暁は手を引っ込め、老王の口元に押し当てた。

老王は今日汗をかいていたため、下の方は当然少し臭いがしていた。そのため李暁の白く細い指を見るなり、老王はたちまち嫌悪感を覚え、すぐさま彼女の手を掴んだ。ちょうどその時、柳嬌嬌が慌てふためいて飛び込んできた。

「彼が帰るの、私が送らないと……送らなきゃ!」

彼?帰る?

老王は柳嬌嬌が夫のことを言っているのだと理解し、仕方なくこの店員から手を引き、支払いを済ませて柳嬌嬌と一緒に店を出た。

二人はマンションに着くと別れ、十分ほど歩き回った後、老王が吸い終えたタバコの吸い殻を捨てたとき、ちょうど階段の照明が点くのが見え、す...