4話
「見た目は特別目立つわけではないけど、端正で清潔感があって見ていて心地いいわね」
「それって褒められてるの？」隋陽の結論を聞いて、穆司闻は自分が学生時代に国語をちゃんと勉強しなかったせいか、これが体型を褒められているのか皮肉を言われているのか理解できなかった。
隋陽は彼を一瞥すると、こんなにもストレートな男が男好きだなんて理解できないといった様子で手を振り、あきらめ顔で言った。「お前はもう救いようがないな。でも考えてみろよ、『囲われる』っていうのは聞こえは良くないけど、お互いに必要なものを得られるんだぞ。お前は彼の欲望を満たし、彼はお前に金銭的な喜びをもたらす。それに厳書意はルックスも悪くないし、彼についていけば出世だってできるかもしれない。もう人の顔色を窺う必要もなくなるぞ」
まさにその点を考慮して穆司闻は迷っていた。友人の分析を聞いて、心はさらに憂鬱になった。身体を回転させてパソコンの画面を見つめ、しばらくしてから答えた。「ちゃんと考えてみるよ」
隋陽は彼の懸念を知っていたので、それ以上は何も言わず、彼の肩を軽く叩いてから仕事に戻った。
心の中の無数の声が穆司闻に承諾するなと告げていたが、現実は残酷だった。後ろ盾があれば生活は楽になるだろう、少なくとも今よりはずっとマシになる。家賃や光熱費の心配をする必要もなく、銀行口座の残高を見ながら残りの日々をどう過ごすか計画する必要もなく、他人に頭を下げる必要もなくなる。
絶え間なく流れる高層ビル群の中に自分のものは一つもなく、見知らぬ街で足場を固められない。もしかしたら厳書意の申し出を受ければ、すべてが簡単になり、自分の夢にも一歩近づけるかもしれない。
二日後、穆司闻は再び厳書意からの電話を受けた。「考えはどうだ？私はお前にかなり寛容だったつもりだが、もしこれ以上駆け引きするなら、仕事も失うことになるぞ」厳書意は相手を早く承諾させるため、脅しも忘れなかった。「私の手段を知っているだろう。私を怒らせた者に良い結末はないんだ」
内心では呆れながらも、穆司闻は天井に向かって目を回し、自分を弁明した。「厳社長、一つ言わせてください。私は駆け引きなんてしていませんし、あの日も意図的にあなたを誘ったわけではありません。目が不快だっただけです」
「この数日間、真剣に考えました」穆司闻は一旦言葉を切り、深呼吸をした。「考えてみれば、あなたの要求を受け入れることは私にとっても悪いことではないかもしれません。お互いに必要なものを得る関係で、あなたも約束通り私の要求を満たしてくれることを期待します」
日夜思い悩んでいた相手がついに承諾したことで、厳書意の機嫌も良くなった。「私は約束を守る男だ。言ったことは必ずやる。それなら今日中に契約を交わそう。後でアドレスを送るから、夜にそこに来てくれ。まずは品定めをしないとな」
厳書意の意図は明らかだった。すべてが少し早く進みすぎている感じはしたが、穆司闻はそれでも承諾した。「わかりました。では夜にお会いしましょう」
地下鉄を三回乗り換え、バスに一時間揺られて、穆司闻はお尻が痺れるほどだったが、ようやく厳書意が指定した住所に辿り着いた。高級マンションの前に立ち、何度も部屋番号を確認してから勇気を出してインターホンを押し、緊張と不安を抱えながら待った。
ドアを開けたのは年配の女性だった。彼女は戸口に立つ穆司闻を見て尋ねた。「あなたが若様の言っていた愛人さんですね？さあ、どうぞお入りください」
家政婦の温かい歓迎に穆司闻は少し気まずさを感じながらも、彼女の様々な「調査」の下、靴を脱いで尋ねた。「おばさん、厳さんはいらっしゃいますか？少しお話があるのですが」