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35話

彼は厳書意に頼るようになっていた。この関係は彼を不安な生活から引き離し、豪奢な環境へと投げ込む救命具のようだった。そんな日々に酔いしれ、夜になって厳書意と肌を重ねる時には、現実に戻りたくないとさえ思うようになっていた。

「顔色いいじゃん。週末、何してたの?」隋陽が怪しげな顔で詰問してきた。前回は自分が弱みを握られたから、今度は仕返しするつもりらしい。

穆司聞は彼の手を払いのけ、不自然にセーターの襟元を整えた。「別に何もしてない。家にいただけだよ」

直感的に何かおかしいと感じた隋陽は、背後から突然穆司聞を抱きしめた。タートルネックのセーターの襟が少し引っ張られ、首筋に広がる赤い痕跡が見えた...