一つのリンゴ

64話

謝然は新郎の端正な顔立ちを凝視し、どう見ても違和感を覚えた。彼は謝青寄に小声で言った。「たぶん彼もゲイだろうな。まあいいか、大きな祝儀袋を用意しよう」

張真真は結局、形だけの結婚という道を選んだのだ。

謝青寄は何も言わず、表情が少し重くなった。

カミングアウトした張真真でさえ妥協を選んだのなら、自分と謝然はこれからどうすればいいのか分からない。しかも、この件については二人の間に少し意見の相違があるようだ。謝青寄はただ王雪新にどう受け入れてもらうかというきっかけがないことに苦悩しているが、謝然の様子を見ると、最初から彼女に隠し通すつもりのようだ。

この話題になるたびに謝然は話をそらし、謝...