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980話

正直に言えば、彼女も少し欲しかった。しかし家の中で、しかも小虎もいるのだから、欲望の炎がどれほど激しくとも、絶対にできるわけがなかった。

「はぁ、本当に俺を渇かせるつもりなのか……」色哥はため息をつき、わざとらしく切なげな様子を見せた。

「喉が渇いたならお茶でも飲みなさい!」喜儿は彼を鋭く睨みつけ、声を潜めて言った。「小虎がいるんだから、変なこと言わないで!」そう言うと、彼女は立ち上がって台所へ向かった。恋人同士であり、近所に住んでいるとはいえ、訪ねてきた者は客だ。最低限の礼儀は守らなければならない。

台所へ行くには堂屋を通る必要があり、そこは灯りがついていなかった。色哥は慌てて彼女の後...