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875話

他人事に無関心で、関わりたくないというのは、文明社会の悲しい現実だ。強盗はまさにその人々の道徳心にある利己的で臆病な暗部を見抜き、堂々と白昼の下で犯行に及んだのだ。しかし、今回は彼の読みが外れた。

強盗はバッグを手に慌ただしく走り続け、後ろから美女が「止まれ、止まれ」と呼びかける声など全く気にせず、むしろ得意げだった。「普段なら君に呼ばれたら即座に立ち止まるところだが、今日はそうもいかないんだよ!」

だが、今日は止まらないわけにはいかなかった!強盗が戦利品を手に喜々として走っていると、突然、傍観していた人混みから一人の男が飛び出してきて、彼の腕をがっしりと掴んだ。同時に、男は足を絡ませる技...