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1000話

「旦那さま……」向こうから愛しげな声が聞こえてくる。

「あなた、何してるの……」彼女の声は柔らかい。

「なんでもないよ、ちょうど出かけようとしてたところさ!俺に会いたくなった?」

「うん、会いたい……」彼女は小さな声で言った。「家の防犯用の窓格子が取り付けられたから、いつか見に来てくれない?……」

「本当に時間がないんだ……」向こうは申し訳なさそうに言った。もちろん彼は、愛する妻が彼に帰ってきてほしい理由を分かっていた。「俺が送ったあれはどう?……」

「どうもこうもないわ、使ってないもの……」彼女は言った。あれとは、もちろん電動バイブレーターのことだ。

「そうか……」

「私は血の通った人間なの...