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983話

庭には葡萄棚があり、その下には石のテーブル、周りには四つの石の腰掛けがあった。

西側の塀の根元には、麺棒よりわずかに太い程度の小さな柳の木が一本。だが陸寧の寝室の窓前には、宋楚詞が植えたという石榴の木はなかった。

西側の部屋、東側は台所、大門から入って左に曲がれば南側の部屋で、浴室とトイレになっている。

扉や窓はあの古い様式のままだった——つまり、陸寧が今目にしている家は、宋楚詞がまだ改装する前のままの家で、まさに寸分違わぬそっくりそのもの。正面の玄関に掛かる葦のすだれ越しに、テレビの明滅する光がかすかに見えた。

西側の部屋の明かりが灯り、空色のカーテンには人影の上半身が映っていた。窓辺の卓上...