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868話

「宋社長、お見送りは結構です。ここで失礼します」

陸寧はバックステップで総裁室を出る際、恐縮したように何度も頭を下げ、丁寧にドアを閉めた。

まるで、デスクに座ったまま何かを考え込んでいる宋社長が、本当に彼という小さな警備隊長を見送るかのように振る舞ったのだ。

ドアを閉め、振り返ると、陸氏は来た時と同じように、秘書室にいる秦小氷たちに笑顔で会釈し、そのまま足早に立ち去った。

どうせ秦秘書長は今頭に来ているのだから、この状況で彼女の前をうろつくのは得策ではない。また何か投げつけられでもしたら、自分から厄介事を招くようなものだ。

陸寧は宋社長が彼女に物を投げつ...