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863話

秦小冰には五百円渡して豚の角煮を一口食べてくれと頼んでも、相手にすらしないだろう。

スリムな美女が豚の角煮なんて好むはずがない。

あれは美女を太らせる毒薬だと言われているし、しかも中毒性があって、一度はまったら人生終わりだとか。

秦小冰が豚の角煮を取ったのは、ある豚よりも食い意地の張った男が好きだと知っていたからだ。この前だって、彼が二人前の豚の角煮をあっという間に平らげるのを目の当たりにした。今回彼が取ったのは一人前だけ。絶対足りないはずだ。

彼が足りるとか足りないとか、私に何の関係があるの?わざわざもう一人前取ってあげる必要なんてないでしょ。

彼が私にとって何なの?私はすでに彼のために三千...