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787話

「今はまだ八時半、宋社長の指定した時間までは、まだ三十分ある。」

三十分あれば、張欣が宋社長に昨晩の件を報告するには十分だろう。ついでに遠回しに進言もしておこう——社長たるもの、二十四時間携帯の電源を入れておくことはできないものか、部下が似たような緊急事態に遭遇した際、あなたの自宅を訪ねることを許してもらえないものか。

「張部長、おはようございます」

張欣が九階のエレベーターを出たところで、ちょうどラウラが社長室から出てきて、先に挨拶をしてきた。

「おはよう」

張欣は足早に近づくと、小声で尋ねた。「社長室に誰かいる?」

もし誰かが中で報告をしているなら、ラウラに先に一言伝えてもらい...