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767話

名門家系から出た者に、愚か者はいない。

まして燕春来が燕家のために華夏最大の経済拠点である明珠を任されているのだから、少しでも知恵が足りなければ、とっくに地元の者たちに食い物にされていただろう。

燕春来が最近不安に駆られているのは、ただ闇に潜む敵が誰なのか見当がつかないからだ。その敵は郭易秦や楼宇湘さえも屈服させるほどの存在で、自分がその二家を合わせたよりも強いとは思えない。

特に陸宁が死から蘇ったのを目の当たりにした後、燕春来はひどく恐れおののいていた。

彼が水暗影に対して密かに行ったことが陸宁によって暴かれれば、首を吊るか毒を飲んで詫びるしか道はなくなる。

まさにこの恐怖が、燕春...