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756話

元気のない馬経天を見て、林舞児の胸中は複雑な思いで一杯だった。

彼女はバカではない。これほど長い付き合いを経て、認めざるを得なかった——彼は本当に自分のことを大切に思ってくれていると。

どんな少女も初めて恋に目覚めるとき、自分の白馬の王子がどんな存在か夢見るものだ。

林舞児もそうだった。

彼女が望む未来の王子様は、あまり端麗な容姿でなくても、教養があって品格があればいい。気性がおとなしすぎなくても、彼女を思いやり気遣ってくれる人。必ずしもユーモアがなくても、ロマンチックな心を持っている人……

間違いなく、馬経天は林舞児の心の中の白馬の王子の条件をすべて満たしていた。それどころか、さら...