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730話

建設路の中段に住んでいる小方は、野菜の行商人だ。

自分で小さなバン型トラックを持ち、普段は夜明け前の三時半に妻と一緒に田舎の市場へ野菜を仕入けに行き、朝の八時過ぎに富華市内に戻って、各スーパーやレストランに配達する。

野菜の行商は夜中に起きて明け方に寝るという生活で少し大変ではあるが、収入はかなり良い。それに小方夫婦はまだ若いので、若いうちにたくさん稼いで息子のために財産を貯め、将来良い嫁を迎えられるようにしたいと考えていた。

昨日の午前中、小方は田舎の市場の農家たちと今朝は30分早く行くと約束していた。

ところが、昨日の夕方突然、町内会の婦人から通知があり、建設路や平安路などの数本の...