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655話

善行をする時は、老人が道を渡るのを手伝うように、大勢の人が見ていても、少しも気にならない。

悪事を働く時は、どんな凶悪な人間でも、ふと傍らを通りかかる乞食に気づけば、多かれ少なかれ影響を受けるものだ。

トカゲとハルクの兄弟が、道端から白い影が近づいてくるのを見て、やろうとしていたことを一時中断し、その方向を見たのも同じことだ。

白いコートを着た通行人だった。確かにこの時間帯の郊外の道では、行き交う車以外に通行人はほとんど見かけないが、この人物が現れたとしても、別に不思議なことではない。

三人とも、近づいてくるこの人物が足の不自由な人だと分かった。歩くのがとても遅く、苦労しているようだった。

ト...