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644話

「敬礼!」

西北方向に向かって、李子は両足をそろえ、顎を上げて敬礼した。

彼一人だけの敬礼だったが、その手の動きと共に、天地を覆うような凛とした殺気が放たれた。

まるで彼の背後の深い初冬の明け方の闇の中に、列をなして見えない兵士たちが立っているかのようだった。

彼が敬礼したのは、潘龍語が彼に「龍頭が逝った。私の代わりに軍の礼で見送ってやってくれ」と言ったからだ。

潘龍語がその言葉を口にした時、その口調はとても淡々としていて、まるで何でもない日常の出来事を語るようだった。

しかし李子が敬礼する時の厳かな表情は、国歌が流れ、国旗がゆっくりと掲揚されるときのようだった。

李子は多くの人...