Read with BonusRead with Bonus

625話

封筒の中のUSBメモリには、花家の族長だけが見ることを許された秘密が隠されていた。

花冷夕がクーデターを成功させた後も花小妖を消さなかったのは、この秘密を手に入れるためだった。

彼は花家の族長の「権利の杖」を手に入れるためなら、どんな犠牲も厭わない。これはグリンドにとっても周知の事実だった。

だからこそグリンドは、この世で誰も封筒の中身に抗えないと確信していた。陸寧でさえも例外ではないはずだった。

しかし陸寧は花小妖から「閲覧権限」を与えられていた。

本来見る権利を持つべき人物が見ず、そして音もなくグリンドに返却した。

なぜ彼は中身を見なかったのか?

そして、お嬢様はどうして彼が...