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617話

記憶を失った陸寧は今や、かつて国際的に名を馳せた「盗聖」だったことを知っている。

泥棒というものは、女性の心を盗むだけでなく、当然ながら骨董品や書画にも造詣が深いものだ。

そうでなければ、苦労して盗んだ品が贋作だったとしたら、それはあまりにも不愉快ではないか?

だから言えるのは、骨董品や書画に手を出す泥棒は、必ず骨董品の年代を見分ける慧眼を持っていなければならない。「騙される」のを防ぐためにね。

陸寧の書画鑑定の目は、女性を口説く技術と比べても、それを上回るほどの確かさがあった。だからこそ、日付を見た後、この素描画の「制作年代」を注意深く観察し始めたのだ。

先ほどは絵だけを見ていて、...