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552話

太陽が東の方からゆっくりと昇り、新しい一日が始まった。

「ヒーン、ヒヒーン!」

ロバの鳴き声が、まだ深い眠りについていた林舞児を目覚めさせた。

彼女はゆっくりと眠そうな目を開け、手を上げてロバの頭を軽く撫でながら、ぼそりと尋ねた。「おしっこ、したいの?」

ロバ兄さんは二号がいつもこの質問をすることが大嫌いだった。面目が丸つぶれだと感じるからだ。そのため、さっさと顔をそむけて窓の外を見た。

窓の外には、見渡す限りの豊穣の景色が広がっていた。

人々が豊穣の景色と言えば、通常は黄金色に輝く穂や、金色の麦畑を思い浮かべるだろう。

砂漠の色も、成熟した麦畑や穂と同じ色ではないか?

ここは...