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538話

ローラが気の触れた婆さんを見るような目で自分を見ようが知ったことか、宋楚詞は『焚心似火』のメインメロディーを口ずさみながら、黒いアルマーニの手袋をはめ直し、スコップで穴を掘り続けた。

窓台のこの辺りは普段から人通りが少なく、数日前に埋めたばかりで、その後二度の雨が降ったこともあり、土はまだ柔らかくて掘りやすかった。

それでも、普段から体を動かさない宋総は汗びっしょりになり、頬を赤く染めた。思い切って白いTシャツを脱ぎ捨て、上半身裸で作業を続けた。

まったく、男性に見られなくて良かった。さもなければ、女の子が正気を失って暴走する姿に、ぞっとするだろうに。

ローラは見ていたが、見なかったふ...