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443話

外出した時に財布を忘れるなんて、よくある話だ。

若者が困った顔をしているのを見て、劉おやじはすぐに事情を察し、笑いながら尋ねた。「兄弟、お金を忘れたのか?」

若者は照れくさそうに後頭部を掻きながら答えた。「はは、本当に忘れちゃったんです」

「じゃあ、ツケにしておくよ。次に来た時か、この辺を通りかかった時にでも払ってくれれば構わないさ」

劉おやじの商売はどんどん繁盛していた。腕がいいというだけでなく、人当たりの良さも評判だった。客が財布を忘れたくらいで目くじらを立てるようなことはなかった。

「え、それは申し訳ないです」

若者は少し驚いたような顔をした。劉おやじがそう言うとは思っていな...