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407話

漠北北が角を曲がったところで、女性従業員が丁度カートを押して通りかかった。

カートの上には、ほとんど手をつけられていない皿が並んでいた。こういった高級ホテルでの食事ほど、人々は礼儀作法を重んじ、路地裏の屋台で豪快に食べるようなことはしない。ほとんどの人は満腹にならず、宴会が終わっても、皿の上の料理はあまり減っていないものだ。

「すみません」

従業員が漠北北に職業的な笑顔を向け、すれ違おうとした瞬間、声をかけられて足を止めた。「お嬢さん、何かお手伝いできることがありますか?」

「お手洗いに行きたいんですが、どこにあるか分からなくて」

漠北北は少し恥ずかしそうに目を伏せ、小さな声で尋ねた...