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370話

「漠北北!」

老刘から至邪の物が何かを聞いていた陸寧は、その悲鳴を聞くや否や、小さな腰掛けから飛び上がり、入り口へと疾走した。

陸寧の鋭い聴覚によれば、少女の悲鳴が聞こえた場所は小さな道観から少なくとも二百メートルほど離れていたが、それが漠北北の悲鳴であることは間違いなかった。

鋭い叫び声には言い表せないほどの恐怖が込められており、しかも短く、まるで声を出した途端に誰かに首を掴まれて押し戻されたかのようだった。

山で一人遊んでいる少女なら、蛇やネズミなど最も怖いものに出くわすことはあるだろう(この辺りには狼などの大型野獣はいない)。本能的な恐怖から悲鳴を上げるこ...