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367話

「あなたは良い人ね」

歩いてきた漠北北がそう口にした途端、陸寧は笑いそうになった。

家にいた頃、陳婉約も彼にそんなことを言ったことがある。

「俺は良い人なんかになりたくない。むしろ悪い人の方が好きだ。悪い人は何をしても罪悪感なんて感じないからな」

陸寧はそう漠北北に答えた。これは本音だった。

「じゃあ、なんで悪い人にならないの?」

漠北北は陸寧の隣の花の木の下に歩み寄り、手を伸ばして一枚の葉を摘み、小さな鼻の下で軽く香りを嗅ぐ仕草をした。とても愛らしかった。

「なる必要ないさ。だって今の俺は元から悪い人間だからな」

陸寧は少し笑うと、自分も一枚の葉を摘み、漠北北の真似をして目を...