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355話

風は軽く、暖かく、夜の闇などお構いなしに、山野にあまねく緑を運んでいた。

南山区の沈塘鎮の外れにある小さな公道では、夜の散歩に出かける人々が多くいた。

一日の労苦を終えた人々は、バーもディスコも映画館もないとはいえ、自然は都会の人々が切に望む新鮮な空気と、まるで無数の目のように瞬く星空を彼らに与えていた。

ちらちらと瞬く星の下、一人の男が王おばさんの前に歩み寄った。

今年五十歳にもならない王おばさんは、数人の近所の女性たちと貯水池の辺りから戻る途中だった。目の前に人が立ち止まるのを見ると、本能的に一歩後ずさりし、上から下まで相手を見回した。「あら、あんたは誰?」

「おばさん、こんばん...