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322話

誰もが漠北北のような少女と話したくない訳ではない。ましてやタクシー運転手は元々おしゃべり好きな人種だ。

道中ずっと、運転手は止まることなく話し続けていた。天文学や地理学、古今東西のことなど、彼の知らないことなどないようだった。

さらには、漠北北が住む沈塘鎮についての伝説まで語り出した。

彼によれば、春秋戦国時代にはすでに、この辺りはある小さな諸侯国の都だったという。

古代の人々が都を築く際は、今の一般市民が家を買う時のように交通の便を気にするのではなく、地形の険しさをより重視したため、その小さな諸侯国は都を南山区の山奥に置いたのだとか。

戦国時代、このような小さな諸侯国は長く存続でき...