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316話

刀子が九幽王に奪われて投げ捨てられた瞬間、陳婉約は死神を見た。

その死神の姿は、何とも魅惑的だった。

九幽王の容姿よりも遥かに美しかった——本当の女性なら、死の直前でさえ、本能的に他の女性の美しさに目を向けてしまうものだ。九幽王と比べると、彼女が虎の爪のように広げた五本の指は、あんなにも細長く、白く、美しかった。まるで真夜中にだけ咲く白い優曇華のように。

九幽王が陳婉約に向けて伸ばした右手、それが死神だった。

これまでに、少なくとも九人がこの美しい手によって、生きたまま心臓を抉り取られていた。

陳婉約は、十人目となる。

彼女には逃げる術など一切なかった。

彼女にできることといえば、ただ目を見開...