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278話

零時まであと七分、漆黒の家からひどい咳込みが響いた。

すぐに離れの戸が少し開き、心配に満ちた明るい瞳が覗いた。

戸が開き、老人がゆっくりと歩み出た。

中庭に立ち、頭を上げて北西の空を見つめ、長い間動かなかった。

濃紺の夜空に星々が瞬いている。

この時間の京華は、空気が最も澄んでいる。

この小さな庭に立っていても、北西の空に流れ星が大気圏を突き抜け、長く儚い光の尾を引いていくのが見えるほどだ。その輝きは眩しくも束の間で、すぐに消えていった。

流れ星が消えた瞬間、山よりも雄々しく見えた老人の体が、突然よろめいた。

離れの戸が素早く開き...