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23話

「さあ、お風呂に入ってきなさい。体中が酸っぱい臭いを放ってるわ。今夜から、私が料理を担当するから」

陸寧から身分証を受け取ると、林武は立ち上がった。「キッチンはどこ?」

陸寧は手を上げて東側の部屋を指差した。先月の中旬にお風呂に入ったばかりだと伝えたい気持ちもあったが、軽蔑されるのが怖くて、黙っていた。

彼には分かった。林武は今は無銭飯を食べるほど落ちぶれていて、服装もたいしたことないが、以前はきっと甘やかされて育ったのだろう。洗濯や料理ができるのは、彼の性格や容姿に関係しているのかもしれない。

林武の後ろ姿を見ながら、陸寧は突然、計算されたような気分になった。...