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189話

「もし他の人がこの夜のようなことに遭遇したら、きっと半分死ぬほど怖がっただろう。

宋楚詞はそうではなかった。せいぜい、あの不気味な女を目にした瞬間に、少し気を失いそうな兆候があっただけで、すぐに持ち直した。

羅布泊であのような経験をした者なら、誰でも胆力が増すものだ。

女が突然不気味に現れ、またふいに消えたように、宋楚詞はそれを気にかけることはなかった。

彼女はしゃがんで、ゆっくりとその物を拾い上げた。

それは大きくはなかったが、ずっしりと重く、鉄のように冷たく硬い質感があった。高いところから落ちても全く損傷がないのも納得だった。

これは玉だった。墨のように黒い玉だ。

宋大小姐は...