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176話

午後九時になっても、スーパーの四階にある社長室の灯りはまだ点いていた。警備員たちにとって、これはもう日常茶飯事だった。

葉社長は、いつもスーパーを最後に出る人物だった。

事情を知らない人なら、きっと大いに感心するだろう。「さすが広達チェーンのトップだ。この寝食を忘れるほどの仕事ぶりなら、成功しないほうがおかしい」と。

しかし、彼女が夜の八時になってようやくスーパーにやって来て、その日の売上を確認し、各部長たちに社長面して説教するだけだと知ったら、そんな風には思わないだろう。

今日は例外だった。葉社長は朝の八時にはもう来ていた——向かいの書店と同じように、今日はスーパーも棚卸しの日だった...