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1322話

美女を見れば近寄っていくのが、ロバの一番の習性だ。ましてや美女が両手を広げて、抱きしめてほしいと言わんばかりに誘っているのだから。

迷うことなく、すぐさま嬉しそうに燕影の懐に飛び込み、首を抱きしめられると、長い舌を伸ばして彼女の顔を「ペロリ」と舐めた。艶やかな若妻はそれにくすくすと可愛らしく笑った。

燕影の銀の鈴のような笑い声を聞いて、陸宁は何とも居心地の悪い気分になった。これからは絶対に母親と一緒に街を歩かないと心に決めた。二人の関係を誤解されるのは避けたかったからだ。

「ありがとう、ロバくん」

燕影はロバの耳元に顔を寄せ、小声でお礼を言った。

「あなたは既に息子って呼んでるんだから...