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1320話

実は楼宇湘が山々の中に逃げ込んだ時点で、自分が感染した猛毒が屍毒だと既に気づいていた。

それ以前に彼女は、陸寧がこの毒に感染したこと、そして陳婉約が彼を救うために、顔を両手で覆いながら彼のベッドに這い上がったことを知っていたのだから。

屍毒を解くには、異性と愛し合わなければならない。

しかしそれは対症療法に過ぎず、異性の力で屍毒を薄めている間に、その相手も感染してしまうだけでなく、一時的に抑えられていた屍毒がある瞬間に急激に発症し、感染者を惨たらしく死に至らしめる。

「飲鴆止渇」とはまさにこのことだ。

楼宇湘はどうでもよかった。見知らぬ男と愛し合うことも、その男が感染して死ぬかもしれ...